『Bootleg』侍功夫の2011年度映画ベストテン

歳末何かとご多端の折、みなさまいかがお過ごしでしょうか?
功夫でございます。
今年見た映画のベストです。

ベスト

01)『ピラニア3D』
02)『Dabangg』
03)『富江 アンリミテッド』
04)『MAD探偵 7人の容疑者』
05)『ジャッカス3D』
06)『イクジット・スルー・ザ・ギフトショップ』
07)『The Last Circus』
08)『ムカデ人間
09)『宇宙人ポール
10)『へんげ』

Bootleg』刊行を一回お休みしたので、前年よりも若干劇場での鑑賞本数が増えました。チョットだけ。
ボクが映画に求めるものの多くが入っていた『ピラニア3D』『ジャッカス3D』。共に3D作品だが、『アバター』以降の奥行き感を重視した作りではなく「飛び出す」事のバカバカしさやイベント感こそを重視しており、逆に3D作品のドン詰まり加減も伺い知れる。
『Dabangg』は、ボリウッド・スターであるサルマン・カーン主演の豪放磊落なポリスアクション。言葉が解らないというハンデを吹き飛ばし、一気に鑑賞。たびたび見返すほどの傑作だった。日本でも話題になり(個人的な)インドブーム到来のきっかけになった『ロボット』も素晴らしい多幸感を味わえる作品で、ラストの余韻も切なくて凄い。
富江 アンリミテッド』は井口昇監督の今までの総決算とも言える大傑作。「富江」だけに派手な肉体破壊やシュールな増殖などのキャッチーさはあるが、その影に「私を嫌うアナタが好き」といったマゾの悲劇が描かれている点が素晴らしい。柔道部殴りこみシーンのスッポ抜けた楽しさも良かった。
映画美学校関連の日本の低予算映画も多く見た。名のある監督の作品や評判の良い映画ばかり選んで見たので、どれも面白かったのだが『へんげ』はさらに頭一つ抜けて良かった。ラストに向けて徐々に盛り上げていき「そこまでやって最後はドウするんだ?」という思いは仰天の大盛り上がりでカウンターを喰らう。今年中に公開があるらしいので未見の方は是非チェックを。
『MAD探偵 7人の容疑者』は画面に写っているものが、画面内の世界ですら虚像であるという、映画好き冥利に尽きる身悶え必須の寛美さ。
『イクジット・スルー・ザ・ギフトショップ』は壮大かつ真摯なバンクシー史上最大の美術業界ドッキリアート。この映画の成り立ちがそのままコンセプチャルアートになっているのが凄い。
『The Last Circus』アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の新作。同監督の『マカロニ・ウェスタン 800発の銃弾』や『どつかれてアンダルシア(仮)』もそうだが、舞台上のキャラクターをそのまま私生活に引きずってしまった男の狂気を描いた上に、スペイン内戦を投影していく重層的な傑作。
ムカデ人間』は、ただムチャやればイイというような『ホステル』以降に量産されたトーチャー・ポルノに対して楔を打ち込んだ、新しいスタンダード。パート2も絶賛ゲロ誘発らしく、楽しみ。
宇宙人ポール』80年代以降のSFX(スペシャル・エフェクツ)映画を見続けた人に対してのお年玉。ツボをおさえたギャグや引用、パロディが楽し過ぎる。

次点。

『イップマン 葉問 序章』
猿の惑星:創世記
『エイリアン・ビキニの侵略』
マネーボール
『ホールパス 夢の独身許可証<期間限定>』
ラブ・アゲイン
『デビル』
『Love Machine』
『旧支配者のキャロル』
『電撃』

今年は「日本ドニー・イェン元年」と言えるでしょう。貯まってた未公開作が一気に公開されただけですが。『イップマン 葉問』では、先にシリーズ2作目が公開され、抗日的な1作目の公開を2作目の観客動員で決めるという“お祭り”までありました。
『イップマン 葉問 序章』『イップマン 葉問』『孫文の義士団』『処刑剣 14 BLADES』『導火線FLASH POINT』『レジェンド・オブ・フィスト 怒りの鉄拳』と、実に6本も公開され、現在も三国志モノの主演作公開が決っているようです。
あとは、アメリカン・コメディーが劇場にかかり出してきて嬉しいかぎり。
美学校関連だと、『Bootleg』に書いてもらっている古澤健(ふるさわ・たけし)監督作『Love Machine』は近年の邦画ではほどんど見かけない艶っぽいコメディで楽しかったし、高橋洋(たかはし・ひろし)監督作『旧支配者のキャロル』も、この世と地続きな地獄を描いていて素晴らしかった。2人の弟子筋にあたる渡辺あい監督の『電撃』も師匠たちに負けず劣らない、狂ってて可笑しい楽しい映画です。都内では色々と上映する機会があるらしいので、要チェックです。美学校ツイッターアカウントの人は上映場所/時間などもつぶやいてくれると助かります。

ワースト

『An American Carol』
『エンジェル・ウォーズ』
パイレーツオブカリビアン 生命の泉』

『An American Carol』は「したコメ映画祭」アメリカンコメディ映画のオールナイトイベントで鑑賞。デビッド・ザッカー監督作。ディケンズの『クリスマス・キャロル』を下敷きに、往年の「裸の銃を持つ男」直系でありながら911以降のマイケル・ムーアを代表とするリベラル派を糾弾するコメディ。なんかメッセージ性を持った事でメチャぶつけの快楽を失ってしまった感じ。ワーストにする事もないんだけど、往年のザッカー作品や近年の「最終絶叫」シリーズと比べるとなんとも悲しい気持ちになったので。
『エンジェル・ウォーズ』ザック・スナイダーは原作無いとすごくダメだなぁ。見た目100点、中身0点。甘くないけどカワいいケーキ。エンジンの無いキャデラック。ボブ・サップ
パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』はダメな大作映画の見本。とことん良い所の無いグズグズのダメ映画でした。

個人的インドブーム

今年はとにかくインド映画を見まくってました。DVDコーナーのあるインド雑貨店に通いつめたあげく顔を覚えられてしまい、ボクが行くと「いらっし……あぁ、どうも!」という友達か? という対応をされるに至りました。
以下、ベストに入れた『Dabangg』や『ロボット』以外で、この1年で見たベストです。実質は、この10年くらいでインドでヒットした映画のベストになっていると思います。
下記したタイトルをYOUTUBEで検索すれば、トリコになる事うけあい。

インドベスト

『Dhoom2』
『What your Raashee?』
『Om Shanti Om』
『Singham』
『Mughal-E-Azam』
『Bbuddah Hoga Terra Baap』
『Dil Bole HADIPPA!』
『Bride & Prejudice』

といった感じです。
来年も『Bootleg』はとりあえず1冊は作るつもりです。と、発表して自分を追い込みます。ガンバレ!オレ!
甚大な災害にあわれた日本の方も、ガンバレ!ニッポン!
苦難に満ちた世界の方に、ガンバレ!世界!
という祈りを込めて『Maan gaye mughall-e-azam』から『Maine kali ka dil』をどうぞ。